「宝石・貴金属」　時計、メガネのスタジオ撮影

【時計の撮影現場】
腕時計の撮影は、物撮りの中でもジュエリー同様に難易度の高い撮影です。一つの被写体にガラス、金属、革など異なる素材が使われており、撮影は各部を別撮りし、撮影後に合成処理を行いますので、ジュエリー撮影より時間を要します。
撮影を行う場合、まずバンドの長さを専用の工具を使用して調整します。次に必ず手袋をはめて、汚れやホコリを取り除き、バンドの裏側や後ろ側の見えないところに細工を施して形を決めます。メタルバンドの時計は両面テープが使用できるのですが、革バンドの場合は両面テープの接着剤で革の表面を傷つけてしまうことがあるため細心の注意をはらってこの作業を行います。ここまでの工程を経て、時計の形が決まったら撮影台にセットしてカメラアングルを決めライティングを行います。
デジタルカメラでの撮影になってからは、バンド、ボディー、文字盤、針のそれぞれを別々に撮影することができるようになったので、それぞれに最適なライティングを行って順番に撮影を行います。
このように別撮り合成で仕上げていくのは、撮影以上に後処理に時間が掛かりますが、仕上がりにはアナログの時代では考えられなかったクオリティーが出ます。
合成を伴った撮影は、広告やカタログなどの高品質な写真撮影の際に行われると思われがちですが、スピードが求められるWEB用写真撮影でも頻繁に行っています。各部分に最適なライティングを行い後処理で合成した方がクオリティー面でもスピード面でも優位だからです。


【時計の別撮り合成の作例（切り抜き用）】

撮影1	撮影2	撮影3
完成写真	【合成の手順】 撮影1と撮影2の外枠と文字盤、針をそれぞれパスで切り、 それぞれの良いところを使用して合成画像作成し、 その合成画像に、撮影3の枠の右側部分を移植します。 映り込みが不自然な部分を修正した上で、色補正を行って仕上げます。 この写真はメーカーカタログではなく、時計販売店の販促ツール用の撮影で1日に全く異なるメーカーの時計を20商品ほどの撮影を行う必要があったため、時間の都合でこの程度の品質でとどめておりますが、撮影及び画像処理に時間を掛ければ、より美しい写真に仕上がります